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ヨガ哲学の八支則とは?

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皆さんは、ヨガの「八支則」をご存じでしょうか?

ヨガ哲学の「八支則」とは、サンスクリット語で「アシュタンガ Ashtanga」と言い、「八本の枝」を意味します。「八支則」は、インドの教典「ヨーガ・スートラ」の第2章の中にあります。ヨガの最終目的は「悟り(サマーディ)」ですが、「ヨーガ・スートラ」の第2章には、サマーディに到達するための具体的な実践方法が書かれています。

八支則とは

「八支則」とは、ヨガの基本的な(行法、教え)です。8つの段階に分かれています。この8つは、段階的に行うのではなく、8つすべてが同時にバランスよく行われ、統一されることで、ヨガの目指す悟りの境地(ヨガ・スートラの中では「カイヴァリヤ・パダ」の状態)へと至るとされています。

人間には5つの苦悩「アヴィッディヤー( 無知)」「アスミター(自意識の高さ)」「ラーガ(欲望)」「ドヴェーシャ(嫌悪、憎しみ)」「アビニヴェーシャハ(死や失うことへの恐れ)」があるといいます。

ヨーガスートラでは、8つの枝からなるYOGAを、聖典の教えに従い実践し続けると、5つの苦悩が消え去ると述べています。

ヤマ(Yama)気をつけるべきこと

どんな生き物や身分の人に対しても どんな場所でも どんな時でも どんな状況でも 守るべき5つを守り抜くことを 世界に誓い 実践することがヤマです。

ヤマは日本では「禁戒」と訳されることが多いです。道徳的に人や社会に対してやってはいけないことや、日常生活の中で、良くない習慣や考え方などを改め、自分の心の中を清々しく保つための方法です。

アヒンサー … 暴力をふるわない、暴力的な言動を慎む
サティヤ … 正直であること、嘘をつかない
アステーヤ … 盗まない
ブランマチャリア … 規則正しい生活をする
アパリグラハ … 執着を手放す、不要なものを抱え込まない

ニヤマ(Niyama)するべきこと

ニヤマは勧戒です。ヤマとは逆に、積極的に行いたい善行などのことをいいます。

シャウチャ … 環境、体、心の清潔を保つ
サントーシャ … 自分に与えられたすべてを受け止めること、満足する、感謝
タパス … 自己規律、行いを律すること
スワディヤーヤ … 自分の真実、世界の真実を学ぶこと
イーシュワラプラニダーナ … 自然の摂理を理解し、ゆだねること

アーサナ(Asana)姿勢

安定して、快適な姿勢(座り方)がアーサナです。

ヨーガスートラでは、アーサナは、ヨガスタジオで行われるようなポーズではなく、瞑想を行うための坐方のことを言います。サンスクリット語で「アーサナ」の「アス」とは座ること、座る姿勢という意味です。(座る物や場所という意味もあります。)

プラーナヤーマ(Pranayama)呼吸法

快適で安定したアーサナ(坐法)ができるようになったとき、呼吸が自然に静まります。それがプラーナヤーマです。呼吸が自然とゆっくり静かに行われるとき、チャトゥルタ(呼吸法の達成)となります。

プラーナとは「生命エネルギー、活力」のことです。プラーナヤーマとは「呼吸法」です。プラーナヤーマは、呼吸を通してプラーナを体内に取り入れ、全身にいきわたらせ、心身の健康に役立てる目的があります。

ヨガの呼吸法には、「吸う(プラク)」、「止める(クンバカ)」、「吐く(レチャク)」の3つがありますが、ヨーガスートラでは、4つ目として「チャトゥルタ(呼吸法の達成)」のことが書かれています。「チャトゥルタ」は、努力しなくても自然と穏やかな呼吸ができている状態のことを言います。

 

↓プラーナヤーマについて書いています。

↓プラーナについて書いています。

 

プラティヤーハーラ(Pratyahara)感覚の制御

プラティヤーハーラとは、五感で感じる感覚や、その対象物に振り回されず、心が静寂で包まれている状態のことを言います。心の中から湧いてくる感覚や、自分の外側で起きている事柄に対して心が静かな状態です。

外側に向いている意識をいったん内側に向け、心の中の常に静かで穏やかな自分に意識を向けます。ヨーガスートラでは、プラティヤーハーラは、練習することによって、自分の意思でコントロールできるようになると書いています。

ダーラナー(Dharana)集中

特定の対象に心を定めることがダーラナーです。

意識を1つのことに焦点をあてることがダーラナーです。具体的には、呼吸や音、イメージなど一つの対象に気持ちを定め、ずっとそこに意識を集中させます。雑念が湧いてきたら、それに気づき、すぐに元の対象に戻ることを繰り返します。眠気や雑念に惑わされず集中が続けられるようになると、ディヤーナ(瞑想)という状態になり、さらに瞑想が深まると、サマーディ(深い瞑想)となります。

ディヤーナ(Dhyana)瞑想

心を定める対象について理解し、その意味に心を定めることがディヤーナです。

心を定める対象とは、本当の自分(真我)であり、本当の自分に対する理解とは、「観る者こそが本当の自分であり、心や体、感覚は観られる物であり、この世を体験する器にすぎない」ということが腑に落ちるということです。

本当の自分は常に穏やかで静寂に満ちており、永遠に変わらない存在です。本当の自分に意識を定め、ずっと集中し続けることが瞑想です。

ダーラナーをある程度続けている状態がディヤーナです。最初は数分程度から集中する練習をし、最終的に48分(1ムフルタ)できるようになるとディヤーナの完成です。

※ ムフルタは時間の単位。1ムフルタは48分。

 

↓瞑想について書いています。

 

サマーディ(Samadhi)瞑想の深まり、静寂

瞑想が深まり、瞑想の対象を理解し、まるで考えがなくなったようになることがサマーディです。ダーラナー、ディヤーナ、サマーディの3つが、サンヤマ(瞑想の3ステップ)です。

サマーディとは思考を停止するという意味ではなく、思考や感情を静かに、穏やかにしておくという意味です。

サマーディには段階があります。

サヴィカルパ・サマーディ … 深く自分の真実を分析し、意志と努力で、一点に集中する練習を繰り返します。深い瞑想状態だが、まだ自分の意志がある状態。

ニルヴィカルパ・サマーディ … 「瞑想をしよう」という意志すらない、深い瞑想状態。意識は瞑想する対象とも、瞑想している心の流れとも一体になり、完全にリラックスしている。

 

※ 参考文献:「やさしく学ぶYOGA哲学ヨーガスートラ」向井田みお

単行本は高価ですが、Kindle版は比較的手に入りやすい価格です。Kindle版は文字が小さく多少読みづらいです。文字は拡大できるのですが、スマートフォンだとかなり読みづらいと思います。

 

ヨガ八支則の覚え方

ヨガ八支則の覚え方ですが、全部をそのまま完璧に覚えるのは、なかなか難しいですよね。

「ヤマ」「ニヤマ」「アーサナ」「プラーナヤーマ」「プラティヤーハーラ」「ダーラナー」「ディヤーナ」「サマーディ」

もし、私が暗記するとしたら、日本語に変えて覚えると思います。例えばこんなの。

山に山
朝な
プラーナ山
プラティヤ原
誰な?
ディヤーナ
サマーデイ

山が2つあって、とある夏の朝。プラーナ山とプラティヤ原を眺めていると、誰かの気配がして、「誰なの?」と聞くと「ディヤーナよ」みたいな。(笑い)

これを頭の中でイメージ画像と共に日本語の短文を覚えます。「プラーナサン」「ダレナ」と覚えないように注意です。(汗)

 

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